(前篇からのつづき)
さて、前置きが長くなりましたが、今回のメインテーマである「糖質制限」についても、上記の例と同様に、いろいろな考え方が主張されています。
ご存知の方はご存知だと思いますが、「糖質摂取は制限すべきか否か」というテーマがホットに論議されています。従来、私自身はずっと「日本人は米を食べるべきだ」と思っていましたので、「糖質は取るべきだ」という考えを持っていました。『乳がんと牛乳』の訳者でいらっしゃる山梨医科大学名誉教授が「日本人は炭水化物を制限してはならない」と主張されていた文章を読んで、個人的に米食が大好きだった私は、これはいい考えだと支持したのが正直なところです。
ところが、、、です。
7~8年ほどほど前のことでしょうか。木沢記念病院の内科の先生から、地域の開業医の先生方を交えた自分たちの勉強会の中で、アンチエイジングの話をしてほしいとの依頼を受けました。形成外科医ですから、見た目のアンチエイジングに関してはそれなりにお話できますが、「アンチエイジング」をテーマにしている以上、どんな質問がくるか分かりません!急いでアンチエイジング学会にも入会手続を取り、学会から教科書を購入して、それはもう焦って勉強しました。関係しそうな分野をネットでも調べまくりました(こういうのをまさに「付け焼刃」と世の中では言うのですよね)。
すると、当時のアンチエイジングの業界では、「抗酸化」に並んで、「抗糖化」というテーマが大きなブームなのだという事実に突き当たりました。アンチエイジングの業界では「糖質は制限するべき」という考え方が急速に勢いを増してきているというのでした(その時に知ることになったのが、糖質制限の分野でおそらく日本で最も有名な江部康二先生の「Dr.江部の糖尿病徒然日誌」というブログです)。
正直、最初は認めたくありませんでした。だって、(ずっと以前から玄米食にはしていましたが)お米大好きなんですから!認めたくないと思いつつも、江部先生のブログを毎日読むうちに、糖尿病患者さんの改善をきちんと数値で証明されていく江部先生の姿勢に、私も(僭越ながら)だんだんと認めざるを得ないかな(すごく偉そうな表現で大変恐縮なのですが)と思うようになりました。今では私も「糖質制限」生活を実践してみている形成外科医の一人になってしまいました。もちろん、江部先生のブログに集う糖尿病の方々が本気になって取り組まれているような厳密な糖質制限まではなかなか出来ていないのですが・・・。私のその後の経過についてはまたご報告したいと思います。
ところで、その江部先生のブログでとっても面白い記事を見つけました。なんでも、前篇でご紹介した「湿潤療法」の夏井睦先生のブログでも「糖質制限」の話題が大ブームだったそうで、「糖質制限」にはまる形成外科医たち(今や私もその一人ですが…)がネット上でホットに論議、とても面白い現象だと興味深く読ませて頂きました。
そんなわけで、今回は私の中のパラダイムシフト、「糖質制限」の紹介でした。
とは言っても、私はあくまで形成外科医ですから、糖質制限に関しては専門外です。「生兵法は怪我のもと」といいますので、これ以上は詳しい内容に立ち入るのは避けたいと思いますし、このブログの読者の皆さんに「糖質制限」を推奨するものでもありません。あくまで、アンチエイジングの業界で「糖質制限」というホットなテーマが議論されていますよ、ということをお知らせしたということで、よろしくお願いしたいと思います。ご興味のある方は、上記で紹介させて頂いた江部先生や夏井先生のブログをご覧になってみてください!
江部康二先生のブログ「Dr.江部の糖尿病徒然日誌」
夏井睦先生のブログ「新しい創傷治療 『消毒とガーゼ』の撲滅を目指して」