眼瞼下垂の手術例 ~ 症例写真 ~

これまで数多くの眼瞼下垂症の手術を行ってきました。
その中から、いくつかの手術の症例写真ご紹介します。

(お写真の使用をご承諾くださった皆様には心から感謝いたします)

なお、詳しい手術の方法についてはこちらをご覧ください。
>>>>  『腱膜性眼瞼下垂(典型的な後天的眼瞼下垂)』



 1 先天性眼瞼下垂


最初にご紹介するのは、先天性眼瞼下垂の症例です。

患者様は、50代前半の男性の方です。

術後は手術から8カ月の写真です。

幼少時より右側の眼瞼下垂を自覚していたそうですが、ご両親も同様の目をしていらしたため、「生まれつきで遺伝だから仕方ない。」と諦めていたそうです。「まさか治療ができるなんて思っていなかった。形成外科も知らなかった。」とおっしゃっていました。

治療としては、先天性眼瞼下垂の右側には筋膜移植を行い、健側の左側は見た目のバランスを取る目的で余剰皮膚の切除を行いました。手術は約1時間半で終了。日帰りも可能な手術です。筋膜採取のための傷が大腿部に2か所入りますが、時間の経過とともに目立たなくなります。

治療を終えた患者さんからは、
「もっと早くやればよかった。知らなかったから・・・。」
という言葉が聞かれました。

ネット時代と言っても、多くの人が何でも自分で情報を集められるようになったのは、まだまだこの数年ぐらいのことだと思います。その意味では本当によい時代になってきていると思います(逆に言えば、医療者側からの情報発信がきわめて重要な時代になってきているということだと思います)。


 2 後天性の眼瞼下垂(加齢によるもの)


次にご紹介するのは、70代前半の患者様です。
2010年頃に行った手術です。

コンタクトレンズの使用歴などはありませんでした。
経過から加齢による腱膜性の眼瞼下垂と考えらえました。

手術では余剰皮膚の切除と腱膜固定を行いました。

術後はとても見やすくなったと喜んでいただけました。

手術は日帰りで可能ですが、術後は目にガーゼが当たり視界が悪くなるため、自分で運転して帰ることはお勧めできません。ご家族の運転などで帰っていただくか、公共交通機関を利用して頂いています。


 3 ハードコンタクトレンズの長期使用によるもの


後天性の眼瞼下垂は、若い人でも見受けられます。
次に若年者の方の症例をご紹介します。

患者様は、30代後半の男性の方です。

10代のころからハードコンタクトレンズの使用を開始。眠る数時間以外はほぼ一日中装着しっぱなし、という生活を20年以上続けてこられたそうです。

手術の前は、前方が見にくいというだけでなく、常に眠たい感じがしていたそうです。

術後の写真はまだ2か月目のものなので、やや腫れぼったさが残っていますが、見にくいという症状や眠たい感じというのは全くなくなったとのことでした。

コンタクトレンズが近視の方にもたらしたメリットはとても大きなものがありましたが、このような弊害もあることが一般の方にも知られてきたのはこの10年くらいのことだと思います。コンタクトレンズのメリットも生かしつつ、眼瞼下垂のことも頭の隅に置いて使用できると理想的です。

ちなみに私も近眼ですが、普段は眼鏡で生活し、必要な場合だけ使い捨てのソフトコンタクトレンズを使用するようにしています。


 4 片側性の腱膜性眼瞼下垂


もうおひとり、若い世代の方の眼瞼下垂の症例です。
30代前半の女性の患者様です。

片側性の腱膜性眼瞼下垂症です。
やはり、ハードコンタクトレンズの長期使用が原因でした。

診察させて頂くと、左側(向かって右側)のみ、眼瞼下垂が見られました。
左の眉も、無意識に下垂を補おうとして、右側より上がっています。
また、左のみ、肩こりもあるとのことでした。


おもり負荷テストを行ってみると、右側(向かって左側)はまだ腱膜の緩みが生じておらず、代償期でもないことが分かりました。こういう場合に、片側のみ手術を行うか、両側とも手術を行うかは迷うところではあります。

両側のバランスをとる目的や、将来的な腱膜性眼瞼下垂を予防する目的で、両側の手術を行うというのも選択肢のひとつです。しかし、眼瞼下垂の症状のない健側まで保険で治療することはできません。片方を自費、片方を保険で手術ということができればよいのですが、残念ながら現在の保険診療の制度では「混合診療」に当たる可能性があるため、厳密には同日に施行はできません。

ですので、選択肢としては、両側自費で手術を行うか、片側のみ保険で治療を行うかのいずれかになります。この患者様は、片側のみ保険で治療することを希望されました。

下は、術中の写真です。


正面視の状態を見ると、「やや挙上が物足りないかな?もう少し挙上したいな。」という気持ちになりましたが、健側とのバランス、上方視した時のバランスを見て、この程度の挙上としました。両側手術を行うのであれば、両側ともに、もう少し挙上したかもしれません。

次に、術後1週間目、抜糸の日の状態です。
まだ腫れていますが、挙上の左右のバランスは良好で、一安心しました。


そして、1か月後になると、さらに自然になりました。

手術では、2mmだけ皮膚の切除を行っているのですが、ほとんど左右差がない状態に落ち着きました。眉の位置も左右ともに良好です。

片側のみ手術を行うことで、大なり小なりの左右差が残る可能性があるという点については、術前に十分にご説明していましたが、「術前の左右差に比べれば、術後の左右差は全く気にならない!」というお言葉を頂き、私も安堵しました。




 5 眼瞼下垂の手術後の腫れ(A様)


「眼瞼下垂の手術を受けた場合、術後にどのくらい腫れるのか?」というような、術後の経過が心配だという方は多いと思います。術後にどれぐらい腫れるかは、個人差もありますが、手術の方法が大きく影響すると思います。

そこで、私が行っている方法でどのくらい腫れるのか、実際に経過を見て頂こうと思います。

患者様は50代の女性の方です。
ハードコンタクトレンズの使用歴が20年ということでした。


右の写真は術後1ヶ月目の状態です。
まだ若干の腫れがが残っています。

腫れというよりはむくみ感と言った方が適切かもしれません。
このむくみ感が完全に消失するまでには、約3ヶ月かかります。

下の写真は手術翌日の状態です。
ベッド上に横になっている状態で写真を撮影したので、上の写真とは撮影の条件が異なります。


術後10日目、抜糸の日の状態です。

 

術後の経過としては標準的な経過です。
手術後2週間は腫れが目立つ期間だと思います。

いかがでしょうか。
この4枚の写真からだけでも、かなり具体的にイメージして頂けるのではないでしょうか。

さらに、下の写真が術後3か月後の状態になります。


術後3か月が経過すると、術後の腫れだけでなく、わずかな浮腫み感もほぼとれ、安定した状態となります。また、術後1か月目の受診では、まだツッパリ感があるとおっしゃっていましたが、術後3か月目の診察ではそのような自覚症状はなくなっていました。

眼瞼下垂の手術方法にも様々な方法がありますが、切る眼瞼下垂の手術の場合、完全に安定するには術後3か月を要するとお考えいただければと思います(注:ケロイド体質などがある場合には、術後半年近くかかる場合もあります)。

 

以前から私のブログやホームページでも記事にしていますが、私の眼瞼下垂の手術方法は信州大学形成外科の前教授(現名誉教授)の松尾清先生の方法を踏襲しています。松尾先生の方法では、瞼を挙げる筋肉が瞼につながる腱膜という部分の両側を切除します。眼瞼下垂の手術方法としては、眼科の先生方が多く行っている方法より根治的な分、手術の侵襲も大きくなります。そのため、腫れも比較的強くなってしまいます。機能的には優れている方法で、長持ちする方法だと考えていますので、今度もこの方針で手術をおこなっていく予定です。




 5 眼瞼下垂の手術後の腫れ(B様)


もう少し腫れの少なかった患者様の症例もご紹介します。

患者様は、70代後半の男性の方です。

視野の不良を自覚されており、夕方になるとさらに見えにくくなると言われていました。

術前と術後1か月の正面写真です。


下の写真は術後12日目の抜糸の時点での写真です。
腫れは9割以上引いているように思います。


A様の経過写真と併せて見てみてください。
術後の腫れが引く早さには、個人差もあることがお分かりいただけると思います。

この患者様は、「術後は夕方になっても視界が良好な状態になった」と、とても喜んでくださり、「免許更新の前にやっておけばよかった!」とも言われていました。また、鏡を見るたびに印象が若くなったことを実感するそうで、「これからまだまだ頑張ります!」と深々とお礼をおっしゃいながら帰って行かれました。

喜んで頂けて本当に嬉しかったです!

 


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