もう少しだけ私自身の糖質制限の話を続けます。
2010年頃、私が糖質制限を始めた時点での目的は、ダイエットそのものでした。痩せたいという気持ちを強く持って厳しい制限を行えていた時期もあれば、どうでも良くなって制限が緩くなってしまった時期もあります。話はそれますが、わたくしのダイエット歴は結構長いものなのです。流行りもののダイエットは一通り試しています。「朝バナナダイエット」「ロングブレスダイエット」「骨盤ネジ締めダイエット」「モムチャンダイエット」「ブートキャンプダイエット」などなど。書き出したらダイエットブログになってしまいそうですが(なので、患者さんのダイエットの苦労は分かりますよ、と声を大にして言いたい!)、話を糖質制限に戻します。
そんな訳で、最初はダイエット目的で飛びついた「糖質制限」、自分なりに実践していく中で少しずつ情報を集めていきました。時代背景として、ちょうどインターネットやSNSの普及(特にスマホの普及)で情報が入手しやすくなったのも幸いでした。ご自身も糖尿病をお持ちで糖質制限で糖尿病を治療されている江部先生のブログや、「湿潤療法」やご著書「炭水化物が人類を滅ぼす」で有名な夏井先生のブログ、フェイスブックの糖質制限グループからも沢山の情報を頂きました。前回も述べましたように、それと同時に栄養療法も受けながら、なんとか妊娠に至ったわけですが、なんともタイミングの良いことに、ちょうどその頃、産婦人科医の宗田哲男先生のご著書「ケトン体が人類を救う」に出会います。
産婦人科医の立場から妊娠・出産を通して糖質制限について書かれていますが、糖質制限やケトン体の本質を理解する上でも非常に分かりやすく、どの患者さんにも強くお勧めしたい1冊です。
妊娠中の糖質制限については、専門家である産婦人科医の間では一般的ではなく、否定的な意見もまだ多いです。私の義兄も産婦人科医ですが、「妊娠中の糖質制限が本当に安全かどうかは、生まれてくる子供が成長に伴って糖質制限が原因と思われる問題が起こって来ないかを長期に経過観察し見極めなければ、結論を出すことはできない」との見解です。大事な人様の赤ちゃんの命を握る産婦人科医として、誠に当然な意見だと思います。ですので、以下にご紹介する内容は、あくまで私の個人的な体験談としてお読みください。
以下、私自身の糖質制限での妊娠・出産の経過をご紹介します。
(興味のない方は飛ばしてくださいね)
妊娠初期につわりが始まると、7年間糖質制限を行っていたにも関わらず、糖質しか受け付けない時期が来ました。「糖質しか受け付けない食べづわり」とでも言えるでしょうか。この時期に一気に3Kg体重が増加し、お腹回りに皮下脂肪がつきます。11~12週を境につわりがおさまり、それまで通りの3食主食を抜く「スーパー糖質制限」に戻すことができました。この現象も「糖質制限あるある」の一つのようで、SNSでも話題になります。人類の歴史を考えれば、妊娠出産は飢餓との戦いでもあったと思いますので、これは飢餓に備えて皮下脂肪を蓄えるという人間としての本能なのではないかと思います。その後、予定帝王切開までに徐々に6kg体重が増加しますが、退院の時にはマイナス6Kgで妊娠前と比べると3Kgの体重増加で済みました。かといって、子供が小さかった訳ではなく、36週での予定出産でしたが3400g以上あり、経過中も何も問題は起きませんでした。出産後も「スーパー糖質制限」を続け、特別な運動もダイエットも行うことなく、4ヵ月の経過でゆっくりとお腹回りの3kgの皮下脂肪が落ちていき、元にもどりました。もちろん、その間授乳も継続しているわけですが、体調はずっと良好です。適切な糖質制限を行っていれば、特別な産後ダイエットは必要ないようです(産前以上のスタイルまでを求めるのなら話は別ですが・・・)。
前回の記事に書きましたように、「必要な栄養素を適切に取りながら行えば」という前提条件の下ですが、個人的な経験としても、糖質制限食での妊娠・出産は非常に安全なものだと考えています。宗田先生が論文で発表されていますが、胎児・胎盤・新生児にケトン体が高いことが分かっています。そこから、妊婦もケトン体をエネルギー源にすることに理論上問題はないと思うのです(ここはあくまで個人的見解です)。
妊娠中に必要な栄養素の中でも、特に「鉄とタンパク質」が重要になります。妊娠中のみならず、この「鉄とタンパク質の不足」があると糖質制限自体もうまくいきません。これに関して分かりやすく記事にされているブログがありましたのでご紹介します。ダイエットに関する情報も満載ですので、糖質制限ダイエットが上手くいかない!と悩まれている方は情報収集の一助として必見です。
ダイエットカウンセラー「ひろかわあきこ」さんのブログより