私のブログを読んで、糖質制限に興味を持ち、糖質制限を始めてくれる方がいらっしゃるかもしれません。
ですので、今日は私自身の経験談として、糖質制限の落とし穴について紹介します。
少し長くなりますので、結論を先に述べておきたいと思います。
その1 副腎疲労にご注意
その2 ほとんどの女性は鉄不足とたんぱく不足が深刻
その3 初心者はまずはMEC食から始めてみよう
【その1 副腎疲労にご注意】
糖質制限で女性が陥りやすい失敗として、糖質を制限したばかりに全体としての摂食量が減り、結果として糖質だけでなく、摂るべき必要な栄養素の摂取までが減ってしまい、逆に体調が悪くなるというケースです。これも「糖質制限あるある」の一つですが、私もまさにそれをやってしまいました。
糖質制限を実践していたある頃、体調を崩しました。ここ数年ひかなかった風邪をこじらせ、1ヵ月経過しても治らないのです。休んでも疲れがとれず、気力だけで毎日の仕事をこなしているような状態でした。サプリメントも様々摂取しており、健康には人一倍気を付けているつもりでした。それなのに体調はいっこうに良くなりません。これは何かがおかしいと思い、栄養療法を行っている先生に相談したのです。
栄養療法については以前にも記事にしたことがありますが、私自身も勉強していた時期もあったものの、形成外科の日々の診療には直結するものではないために、その詳細を忘れてしまっていたのです。あまりの体調の悪さに再度勉強する余裕も無く、近くの専門の先生を頼ったわけですが、採血の結果、いろいろな指摘を受けました。鉄不足、ビタミンB(特にナイアシン)不足、亜鉛不足などを指摘されましたが、同時に副腎疲労も指摘されました。
副腎疲労とは、ストレスや栄養不足から副腎の機能が低下し、副腎から分泌されるホルモンである「コルチゾール」が低下してしまっている状態です。 副腎疲労に陥ると、「疲れが取れない、朝起きるのが辛い、体がだるい・重い、気分が落ち込む、めまい・ふらふら、風邪が治らない」などなど、様々な症状が出ると言われています。コルチゾールには血糖を上げる作用もあります。このため、栄養療法の主治医からは「副腎疲労を悪化させる低血糖とならないように、糖質摂取もほどほどに行ったほうがよい、糖質制限を極端に行うのはかえって良くない。朝と昼だけは少量の糖質も摂取するように。」というアドバイスを受けました。
考えてみると、その頃私は様々なストレスを抱えていました。自家組織の長時間手術が続いたり、プライベートでは不妊治療の結果が出ず、仕事との両立で体(と財布)の負担がどんどん大きくなっていた時期でもありました。副腎疲労の一番の原因と言われるストレスには、言われてみれば、思い当たる事が沢山ありました。
ところで、私の場合は糖質制限を行っているときに副腎疲労になりましたが、糖質制限が副腎疲労の原因そのものなのでしょうか?糖質制限中に副腎疲労になったからといって、それが原因と結果だと単純に考えることはできないと、私は思っています。もしそうだとすると、男性も含め糖質制限を行っているもっともっと多くの方が副腎疲労に陥っているはずです。糖質制限による低血糖が副腎疲労の悪化に拍車をかけたことはあると思いますが、やはり最初に書いたように、摂取すべき諸々の栄養素を適切に摂取できていなかったことと、ストレスのマネジメントが適切に行えていなかったことが原因だったと考えています。実際、栄養療法を受けて必要な栄養素をきちんと摂取するようになってからは、3食主食を抜く厳しい糖質制限を行っても、体調はすこぶる良好です。
この糖質制限と副腎疲労は、最初に書いたように「糖質制限あるある」のひとつで、特に女性が陥りやすいパターンです。コルチゾールを合成するには、タンパク質や各種のビタミン・ミネラルなどの栄養素が必要ですが、副腎疲労となっている方の多くが、長期間のストレスによる消化吸収障害や、ストレスによる栄養素の需要の増大などで、これらの栄養素の欠乏状態に陥っている可能性が高いのです。その栄養素の中でも、特に女性は、潜在的に鉄不足、タンパク不足の方が多いので注意が必要です。
【その2 鉄不足とたんぱく不足にご注意】
鉄不足とたんぱく不足については、先日ご紹介した「ビタミン・ケトン療法」提唱者の藤川徳美先生が重要な情報を沢山発信されています。フェイスブックで情報発信されていましたが、最近アメブロでフェイスブックの転載という形で連載が始まりましたので、こちらも要チェックだと思います。
採血の結果、私もこの鉄不足・タンパク不足に陥っていることが判明しました。これでは体調が悪くなるのも当たり前でした。この鉄不足に関しては、重要なことなのでまた別の機会に私の体験談をご紹介したいと思います。
【その3 初心者はまずはMEC食を】
MEC食については、ネット検索して頂ければ沢山の情報が出てくると思いますので、ここでは簡単にご紹介しておきます。MEC食とは、Meat(肉)、Egg(卵)、Cheese(チーズ)の頭文字をとったもので、この3つを食事の中心とし、よく噛んで食べる食事法のことです。女性に欠乏しやすい、タンパク質やビタミン・ミネラルが効率よく摂取することができます。
【まとめ】
結論として、糖質制限は摂取すべき栄養素を十分にとりながら行えば、非常に安全で効果が出るものです。私の失敗例をご紹介しましたが、慎重になりすぎる必要はありません。思い立ったなら、情報を収集しつつ、今日からでも始めて頂きたいと思います。
健康のためというよりも、ダイエット目的で糖質制限されている方の方がむしろ多いと思いますが、自分なりに取り組んでいるのになかなか結果が出ないという方は、「糖質制限は駄目だ」と否定する前に、摂取すべき栄養素の何かが足りていない可能性について再考して頂きたいのです。
摂取すべき栄養素とは、タンパク質、脂質、ビタミンとミネラルです。それぞれをどのぐらい摂取すべきかについては個体差や考え方も色々ですが、いろんな方がインターネットで情報を発信していますので、関連する情報をたどっていくうちに、徐々に自分なりの考えをまとめることができると思います。情報収集したり、ご自身で判断することが苦手な方や、体調が悪くてそんな余裕のない方は、私のように栄養療法の専門家を受診するのも一つの手段です。