日本女性の多くが気にするのが「法令線」です。
もちろん、たるみとは無縁な若い方でも、構造的に法令線が深い顔立ちの方もいます。
法令線が深いからと言って若々しく見えないかというとそうでもなく、むしろチャームポイントになっていたりもしますので、何が何でもとにかく法令線は消せばいいというものではないと思います。
しかし、たるみによって目立ってきた法令線は、老け顔の原因となるので話が別です。
法令線を目立たなくする方法には色々ありますが、ボトックスもその手段のひとつです。
実際には、ボトックスだけで法令線を目立たなくすることが難しいケースも多いのですが、改善は可能です。
治療例をご紹介します。
この方の場合は、たるみが原因の法令線です。「たるみ治療に対する現在の私の考え方」について先日の記事にも書きましたように(⇒コチラ)、たるみに対しては総合的なアプローチが必要だと考えています。具体的には、溶ける糸(受け入れ可能なら溶けない糸)、ヒアルロン酸注入、ボトックス、HIFUやRFなどの機械系治療を必要に応じて組み合わせることが必要です。どの方法をどの順序で組み合わせていくかは、ケースバイケースで、患者さんとよく相談することにしていますが、私が個人的に好きな順序が『まずはボトックス』という方法です。マリオネットラインについても過去に記事にしましたが(記事はコチラ)、同じ考えです。理由は、受け入れやすいこと、リスクが少ないことです。
もちろん、法令線のボトックスに全くリスクがないわけではありません。
法令線のボトックスで起こりうるリスクとしては、上口唇が間延びして長く見えてしまうことです。
その理由を理解するには、解剖を説明する必要があります。
グラフィックス『フェイス』臨床解剖図譜より
この施術で狙っているのが上の写真で赤い線を引いた、上唇挙筋と上唇鼻翼挙筋なのですが、これらは上口唇を上方向に引き上げる力があるので、ボトックスでこの筋肉を麻痺させると、上口唇が引き上げられにくくなり、結果として上口唇が伸びたように見える可能性があります。もともと上口唇が長いことを気にされている方には不向きな施術だと思います。上の写真の方の場合、溶ける糸の適応もあると思いましたが、美容的な施術がまったく初めてで、糸の施術は怖いということでしたので、入り口としてまずはボトックスの施術をお勧めしました。経過を見て頂いて、ボトックスだけでは結果に満足できないということになれば、ヒアルロン酸注入や溶ける糸の施術を追加して頂く必要があると思います。
法令線へのボトックスについて
【施術の概要】
ボトックス(アラガン社製)を、鼻翼付近に4~6か所注射。
効果の発現は注射から3~4日後。
効果の持続は約4か月。
【リスク・副作用】
注入部位の内出血、効きすぎた場合は違和感、上口唇の延長
【施術費用】
初診料: 円
ボトックス(8~12単位): 万円