ゴウリとは世界初の液体状の『PCL製剤』です。液体状のPCL注入剤には他に『エランセ』がありますが、エランセが粒子状のPCLとキャリアジェルで出来ているのに対し、ゴウリは完全な液体成分で出来ているそうです。
片側の手背にエランセを注入した当院スタッフの反対側の手背に、このゴウリを試してみました。
注入1か月後ですが、手背の筋が目立たなくなっています。
注入後の経過のお写真です。
まだ長期的な経過は分かりませんが、現時点ではエランセと比較して遜色ない結果が出ています。
エランセと比較した時のメリットはダウンタイムが非常に軽いという点です。
それぞれ注入翌日の状態を並べてみました。
注入翌日の腫れは明らかにゴウリの方が軽く、特に指を曲げ伸ばしした際の組織の「緊満感」が明らかにゴウリの方が軽かったため、注入後の経過が楽だったそうです。
エランセは注入した場所にそのまま残るので、まんべんなく薬剤を目的とする部位に置いてくるために、何度も組織内をカニューレで行ったり来たりしないと綺麗に仕上がりません。一方、ゴウリの場合は、組織内で拡散するため、3方向に薬剤を置いてくるだけでよいので、操作が少なく、腫れも非常に少なくて済むようです。
ゴウリは『コラーゲンブースター』と呼ばれている薬剤なのですが、現在使用されている『コラーゲンブースター』と呼ばれるものとして他には、PLLA(ポリ乳酸)が主成分の『スカルプトラ』、そしてハイドロキシアパタイトが主成分の『レディエッセ』が有名です。PLLAで他に有名な製剤として、ポテンザで使用される『マック―ム』がありますが、これは皮内用として使用されています。(PCL製剤の『ミラクル』も同じく皮内用です。)スカルプトラと同様に皮下に使用できるPLLAのコラーゲンブースターとして最近話題になっているのが『ジュべルック』です。ジュべルックに関しては来月にデモを行っていただく予定です。次から次に新しい製品が出てきて、それぞれに良さがありそうなのですが、残念ながらその全てを取り扱うことはできません。費用対効果、安全性など総合的に判断して採用を決めていきたいと思っています。
安全性に関して、ゴウリで気になる点と言えば、過去に顔への使用、特に眼周囲での使用時に、アレルギー反応を疑う強い腫れが出た症例が報告されていることです。コラーゲンブースターは一種の異物反応を利用した若返りの治療ですので、反応が強く出過ぎればアレルギー症状という表現になります。先日、大阪の美容外科学会で参加したセミナー(詳しくはコチラ)では、数多く使用されている韓国の先生が、トラブルが起きにくい新しいプロトコール(注入の手順)を教えてくださいましたので、それに従って行っていく予定です。また、万が一アレルギー症状が出た場合の対応に関しても詳しくお聞きしています。同じ『腫れる』『赤くなる』症状が出るにしても、お顔に出た場合の患者様の心理的負担は大きなものがありますので、まずは手背のみを施術の対象としてモニターを募集したいと思います。
残念ながら、リスクの全くない施術はありません。ただ、リスクと言っても、起こる結果は、ヒアルロン酸注入で起こる『塞栓』や『皮膚壊死』よりよほど軽いものだと思いますし、リカバリーが可能です。リスクがあるのに採用を検討している理由は、手背の若返りのご相談が多い点にあります。他にご提案できる注入剤として『プロファイロ』があります。プロファイロは、ほぼリスクゼロの素晴らしい治療ですが、老化が進んだ手背の若返りには(私の感覚では)コスパが悪すぎて、手背の若返り治療としての現実的な選択肢としてはお勧めできません。結果が出る治療を行っていきたいと思っています。
※『ゴウリ手背注入』のモニター患者様募集は終了となりました。